『驚異のリバース・スピーチ』～ヒトの発する言葉を逆再生すると現れる「聞き取れる声」の謎。それは日本語にも現れる!!!

　2004年のアメリカ大統領選挙の際、注目を集めた秘密結社がある。それはスカル・アンド・ボーンズ（S&B）である。 S&Bの会員は、WASP（ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント）と呼ばれる白人エリート支配層の保守派で構成され、米イェール大学の学生から選抜される。会員同士が協力し合い、アメリカで経済的・社会的に成功することが目的とされるが、影で世界を牛耳る秘密組織の一つだとも憶測されている。
　2004年の大統領選挙の時、共和党からは1968年にS&Bに入会したジョージ・W・ブッシュ氏が、民主党からは1966年に同じくS&Bに入会したジョン・ケリー氏が候補者として選ばれて戦った。どちらが勝っても、S&Bとネオコン主導で新世界秩序（世界統一政府による地球レベルでの全体主義体制）が目指されるのではないかと、当時、失望ムードすら存在していたことが思い出されよう。
　因みに、ケリー氏は2004年の大統領選挙に敗れはしたが、上院外交委員会委員長を経て、 2013年5月現在、国務長官を務めている。

　さて、アメリカでは日曜の朝にNBCテレビが放送する『ミート・ザ・プレス』（Meet the Press）という政治報道番組がある。実は、2004年の大統領選挙を前に、二人の候補者が出演して、共に秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーであることを司会者に指摘されていた。
　そこで、オーツ氏は、単刀直入な司会者に対する二人の回答を逆再生分析している。二人とも、言葉少な目に笑って誤魔化していたが、裏では何が現れていたのだろうか？　

「あなた方はともに秘密結社のスカル・アンド・ボーンズの会員ですね」と司会者に質問されたブッシュ氏は「それは極秘で、それについては話せない」という回答を行った。その個所を逆再生してみると、【ありがとう。情報源を示せ。（I thank you. Give source）】というリバース・スピーチが現れていた。

(mp3)
　ブッシュ氏の【ありがとう】は、司会者に対して発したものなのか、 S&Bに対して発したものなのか、まったく不明だが、時おり天然ボケの傾向が見られるため、深い意味はないだろう。

　一方、「秘密結社のスカル・アンド・ボーンズ。それは何なのか私たちに教えて下さい」と質問されたケリー氏は少しためらったのち、
「（教えられることは）それほどありません、なぜなら、それは秘密だからです。私に明かせるような秘密が何かあればいいのですが」
と回答している。その部分を逆再生してみると、意外にも、
【私は、自分の魂(ソウル)をあなたに与える神です（I am the God who gives you my soul）】というリバース・スピーチが浮かび上がった。

(mp3)
　S&B会員は自分たちを神とみなし、自分たちの魂を人々に与える存在だと考えているのだろうか？ S&Bに関して、もう少し多く言葉を残してくれれば、さらに詳細が明らかとなってこようが、現時点では、結社の秘密は堅く閉ざされていることを確認するのみである。だが、ごく短いフレーズにおいて、二人ともリバース・スピーチを発していたことから、感情的に揺り動かされる、センシティブな問題が指摘されたことが窺われる、興味深い事例と言えるだろう。