○他言語によるリバース・スピーチ(RS)
基本、リバース・スピーチは使用される言語に大きく依存する。
そのため、通常、英語を話す人から現れる反転メッセージも英語となる。
だが、得意でない言語を使った時の逆再生では、母国語で反転メッセージが現れる場合や、
その逆の場合もある。また、極めて稀なことだが、別人の声が現れたり、
まったく話すことのできない言語による反転メッセージが現れる不可解な例もあると
デイヴィッド・オーツ氏は言う。
ここに興味深い例をいくつか挙げておこう。
オサマ・ビン・ラディンは2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロの首謀者とされ、
2011年5月2日に米国海軍特殊部隊の軍事作戦で死亡した。
オーツ氏は彼が2001年11月に行ったとされるアラビア語でのスピーチを逆再生しているが、
その裏で、 【俺はお前に悪の宮殿を買ってやる(I will buy you the palace of evil.)】
(mp3)
と英語でリバース・スピーチが発せられた個所を発見したのだ。
ビン・ラディンは英語も話すため、このようなことは起こり得る。
2002年1月に公表されたビン・ラディンのアラビア語のスピーチの裏では、
【だが、我々の政府は間違っている。今、恐怖を与えるのだ。(But our government is wrong. Terror now)】
(mp3) と現れていた。さらに、2003年に公表されたスピーチの裏では、
【私はカブールを爆破する(I bomb Kabul)】
(mp3)、
【私はアメリカを打つ(I'll bust America)】
(mp3)
というリバース・スピーチも発見されたのだ。
同様に、2003年のイラク戦争開始後に当時の大統領サダム・フセインが行った
アラビア語でのスピーチにおいても、
【政府のために全軍隊が必要だ。(Need a whole army for government)】
(mp3)
という英語のリバース・スピーチが現れていた。ご存知のように、イラクの軍事力は、
米英軍のそれとは比較にならず、全軍隊を上げて戦わねばならなかったことは想像に難くなく、
まさにその時の本音が現れていたものと想像される。
また、時代は遡るが、アドルフ・ヒトラーが戦前にドイツ語で行ったスピーチを逆再生すると、
以下の言葉が英語で現れていたことがオーストラリアの研究家
グレッグ・アルブレヒト氏によって発見されている。
【神はいない。ハルマゲドン、総統。(There is no God. Armageddon, your Fuhrer.)/総統のもとにやって来なさい。石油がない。(Come to Fuhrer. There is no oil.)】
このリバース・スピーチは、神など存在せず、自分(総統)に従い、
最後の決戦に参加するよう人々に呼び掛けているかのようである。
また、「石油がない」というフレーズが含まれていたことはとても興味深い。
というのも、当時、ドイツでは戦争のための石油が不足していたからである。