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○イラク戦争の裏側
読者もご存じのように、イラクがアメリカ同時多発テロを起こした訳ではない。
イラクには、オサマ・ビン・ラディンと繋がりがあり、
大量破壊兵器を隠し持っているという疑いのみがあった。
そして、形勢不利が明らかとなってきたイラクは核査察を受け入れ、
実際に保有しているのかどうか、さらなる調査が検討される段階にあった。
正当な理由を付けてイラク攻撃を行い、アメリカがイラクを制圧すれば、
石油の利権をも獲得できよう。世界中の人々がそのように感じる始める中、
アメリカ政府は、戦争開始の口実を作るためにも、何とかして、
イラクが大量破壊兵器を開発・保有していて、世界を脅かす存在であることを示そうとした。
だが、確固たる証拠を見つけられず、
国際社会にイラクの脅威を示せなかったアメリカ政府は、
強引なこじつけともとれるような傍証を挙げてはイラクを
非難せざるをえない状況に至っていたと言える。
どうやら、ブッシュ大統領自身、そのことに気付いていたようだ。
2002年3月、ブッシュ大統領は既に 【我々の犯罪、そうだ、そして、私には法が必要だ (A crime with us, yes and I need the laws)】
(mp3)
というリバース・スピーチを発していた。
そして、これは2004年初めの米国務長官コーリン・パウエルの発言によっても
裏付けられているようだ。
サダム・フセインが保有してきたとされる兵器に関して触れた際、彼は裏で
【だが、それはペテンである(But it's a scam.)】
(mp3)
というリバース・スピーチを発していた。
その少しあとには、さらに決定的な
【合衆国が騙す(United States scam.)】
というリバース・スピーチも現れた。
これは、大量破壊兵器の保有が確定的とする情報を諜報部から受け取ったと、
国防長官ドナルド・ラムズフェルドが戦争を前にして語った際の
リバース・スピーチにおいても確認される。
彼がもたらした情報のすべてが正しいとは限らないことを示唆するかのように、裏では
【我々はそれらの事実に対してこの悪に関与する(We deal this evil on the facts.)】
(mp3)
と現れていたのである。また別のおりに、パウエル国務長官がイラクの脅威に関して語った際、
【イラクが燃える時(When Iraq burn.)】
(mp3)
というリバース・スピーチも見られた。
さらに、戦争の前に将来の行動に関して語っていた際、
【私を許してくれ(Forgive me.)】
(mp3)
というリバース・スピーチも現れており、いくらか自責の念も窺われたのである。
2002年7月に遡るが、ブッシュ大統領自身も、イラク問題で石油依存経済に
影響が現れることをふまえた演説の中で興味深いリバース・スピーチを発していた。
「保全を推進させるため、議会は、石油にあまり依存しなくて済むエネルギー政策を
アメリカにもたらす法律を可決させることができる」と表向きには口にしていたが、
その裏では、 【それは人々が知るペテンを吹聴する(It sells the scam they know.)】
(mp3)
というリバース・スピーチを発していたのだ。
このようなことから、アメリカ政府は自らの行動にあまり正当性を認められないことを
自覚しながらも、世界に対してイラクの脅威を訴え、
軍事介入の承認を求めているような状況であったことが分かる。
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